土俵一路

花形力士の取り口分析、上位陣の対戦別展望、幕下以下有望力士の特集などを更新中。旬の話題にフォーカスしたコラム調の記事も気の向くままに… 「本場所中も本場所後も楽しめる」をコンセプトとして、マイペースかつストイックに我が道を往き続けます。

伝言板 平成30年分

4月14日
ゆったりなペースではありますが、偶数月恒例(?)の取り口分析を書き進めています。阿炎・豊山に続き、大翔丸・朝乃山までは間違いなくやる予定で、その後は大奄美・石浦あたりまでやるのか、以前書いた通り両大関や玉鷲の改訂版に取り掛かるのかという感じですかね。



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花形力士取り口分析 朝乃山

朝乃山英樹 出身:富山 生年:平成6年 所属:高砂 身長:187センチ 体重:167キロ

<立合い分析>
堂々たる体格を誇る右四つ左腰タイプの力士ということで、白鵬や栃ノ心らと同じく右をかち上げ気味に固め、左は前廻し狙いという立合いが基本戦法となる。
ただ、下半身は硬い方で腰高の当たりにならざるをえないため、この立合い一本では左からのおっつけを持つ力士には格好の餌食となってしまう。そこで前哨戦の突っ張りを取り入れたことが幕下上位や十両で苦しむことなくスピード出世を果たす要因と言えるのだろう。
その効果のほどは、同型である栃ノ心の最近における取り口を参照のほど…というわけだが、本人も参考にしているのかどうか、30年春の勢戦などでは、栃ノ心が時折見せる左右でかち上げるように相手を弾いてから突っ張っていくような立合いも採用している。

他にも突いてくる相手に対して跳ね上げるような狙いも散見されるが、いずれにしても、立合い~攻防に展開していく際の腰が高く不安定であることに変わりはないため、さらなる進化を目指していくにおいては、少しずつでもその位置を低くできるに越したことはないが、それと同じくらいに安定させるための努力を辛抱強く続けていってもらいたい。
栃ノ心に限らず、長い歴史の中でこの人のような取り方をする力士は多く出ており、どのような道筋を辿っていくべきかを指し示してくれる偉大な先人たちの跡を追いかけたい。


踏み込み足:左
手つき:先に両手を下ろして待つのが基本。後から立つ場合は、両手をさっと下ろしていく形。
呼吸:相手と動きを合わせながら、少しずつ早めに動いていきたい。学生相撲で自分より数学年上の少なくない先輩連がなかなか仕切りの遅さを改善しきれない中で、無駄な動作もなく比較的スムーズに順応している。



<攻防分析>
右四つ左上手で十分。強い引きつけで相手の腰を浮かせながらの寄りにはスケールの大きさを感じさせ、上手からぶら下げるようにしての投げ技も迫力がある。左腰の力士にしては左からのおっつけも出る方で、この点は栃ノ心を上回る魅力と言えそうだ。
課題は幕下以下有望力士特集の際にも触れ、<立合い分析>の項でも記したように「右半身にさせられると脆い」ということ。左腰であるゆえ、右差し手を浅い位置の上手やおっつけで殺され、左上手も取れない右半身の体勢になるとせん術がなくなり、棒立ち気味で防戦一方となって、最後はそのまま寄り切られるか、我慢できずにまともに呼び込んでしまうか。
この点を克服せんがために、前哨戦での突っ張りに活路を見出した点も既述の通りであり、現状では立ち腰であるがゆえに、上突っ張りで攻めきれず、まともに叩いてしまうなどの欠点があるにせよ、今後の磨き上げ次第で十分強みの一つとできるだろう。

今後もう一つ栃ノ心を見習うとすれば、右からおっつけながら右を差す、あるいは左四つのままでも絞り上げて寄り切ってしまうような流れの習得か。立合いは勿論、流れの中でも右からの攻めが出るようになれば、より一層相撲の幅が広がっていくに違いない。

花形力士取り口分析 大翔丸

大翔丸翔伍 出身:大阪 生年:平成3年 所属:追手風 身長:174センチ 体重:157キロ

<立合い分析>
額で当たりつつ、右で相手の肩から胸のあたりを突きながら左でおっつける立合いを基本とする。
右差しに来る人や右の突きを主体とする突き押し相手に対してはこの型がビシっとハマりやすい。左四つ相手には同じ形で当たるケースもあれば、左ハズで右からおっつける法を採用することも。
その短躯がゆえに、190センチ級の相手とやる場合、どうしてもやや伸び上がり加減に立ってしまうことがあり、おっつけが高くなってハマらずあっさり組み止められがちなのは課題。とりわけ輝(0-6)・栃ノ心(0-4)には毎回易々と引っ張りこまれて抗えず、大の苦手となっている。
変化気味に出ることもそれなりに多いが、必ず一つ額でかましてからの仕掛けで、相手が差しに来る方の手からかっぱじいたり、かち上げに来る手を払いのけるようにしたりと意図がハッキリしているだけに、この体つきの力士が繰り出す手段としては、決して批判されるべきような性質のものではない。


踏み込み足:右
手つき:相手に応じて、先に手を着かせてから両手を下ろして立つパターンと、先に両手を着いて待つパターンを併用。前者では左の手つき不十分、後者では左に仕切り線オーバーが散見される。
呼吸:以前よりは改善傾向にあるが、全般に遅く、やや利己的と評価せざるをえない呼吸具合である。


<取り口分析> 
短躯かつアンコの体をよく生かし、押しの一手を高めて着実に力をつけている。
たとえば右四つ力士と対戦する場合は左おっつけで差し手を殺す。相手がたまらず右から引っ張り込みにかからんとすれば、左をハズに変え、今度は右からおっつけ・ないしモロハズの格好で、下からの押し上げを効かせていく。この時、手の動きに対してスムーズに出足が伴うことも含め、まさに基本型通りの熟達した押しの構えと言えるだろう。
差せずに焦れた相手が強引に出てきた場合には、その出足を利用しながら回り込み、挟み付けるようにしての突き落としを繰り出すのも特徴で、幕内の番付において初めて二桁勝利を記録した29年秋は、10勝のうち実に7番をこの決まり手によってあげている。
こうした技が決まるのも、しっかりと自分の圧力が相手に伝わっている所以ではあるのだが、やはり本人の理想は、横からの攻め・外からの攻めではなく、真っ向から低く攻めて、相手に引かせるような押しで勝負をつけること。30年春は9勝のうち7勝が前に攻めての早い決着によって勝ち取った白星で、同じ関西出身の実力者である勢や妙義龍を圧倒したのも大きな自信となったのではないだろうか。入幕3年目を迎え、いよいよ上位初進出への視界が開けてきた。
 
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