幕下以下特集も名古屋までの間に3~4力士分入れていく予定です。まずは小柳。

小柳亮太 出身:新潟 生年:平成5年 所属:時津風 身長:185センチ 体重:171キロ 
<プロフィール>
新潟出身→東農大→時津風という王道ルートで入門すると、28年春場所に同場所から適用されることとなった三段目付け出しでデビューすると、いきなり優勝。幕下昇進を果たした去る夏場所も勢いは止まらず、7戦全勝で初土俵からの連勝記録を14に伸ばした上、千穐楽の優勝決定戦では十両経験者阿武咲を下すおまけ付き。
名古屋では、早々に十両を視界に捉える位置にまで急浮上する。抜群の体力に恵まれた大器、下半期の3場所でどこまで番付を上げるのか、本当に楽しみです。

<取り口>
大きく分けると、左四つや突き押しの相手とやるときは体当たり気味に当たってから突き押しに徹し、右四つとやる場合は、右喉輪左おっつけで挟み付けて、そのまま攻めきれれば良し、そうでなくとも根が右四つということで、素早く左おっつけからの左上手に進展させて…という狙いを採るよう。
全般に腰はやや高いものの、体格があるゆえ、現時点では下げることを意識しすぎるよりは、しっかり相手を正面に置きながら、突き放しやおっつけ、あるいは右四つに組むなりして相手の腰を伸ばすことを重視しているように見えます。

上記の夏場所決定戦は相手が十両経験者の阿武咲ということで、幕下上位に上がる名古屋場所、どこまでやれるかを占う意味でも非常に注目された一番でしたが、当たりあってから阿武咲の右おっつけで横向きにされかけるところでも、ふっと左の力を抜き、すぐさま右から攻め返して差し手を覗かせると、左からも挟み付けるように攻めて赤房に強襲。少し流れに任せて出過ぎた感はあり、土俵際の突き落としを喰いかけましたが、阿武咲の左足が先に出ており、ここで勝負ありでした。
おっつけられたら差し手の力を抜けなんていう格言は、相撲をやっていればおそらく誰もが知っていることですが、自然と出せるあたりはセンスの良さですし、自分の体格に合ったリズムで相撲を取ることの上手い力士という印象を強く受けた部分。まして阿武咲クラスの攻めをもろともしなかったことで本人としても手応えを掴んだでしょうし、名古屋場所に向けての期待もいちだんと高まったのではないでしょうか。


<今後の展望>
現状まだまだ立合いが遅いあたりは学生時代の名残でもあり、やむを得ないところではありつつ、勿論出来る限り早めに修正して、十両以上の土俵に向かって行きたい。
取り口については、当面突き押しを中心に据えながら鍛錬に励んでいくとのこと。右四つでも十分相撲は取れるのですが、ちょうど幕内に行けば豊響くらいの体格ですから、現時点では大きいという印象があっても、幕内上位に行けばさらに上がいる。ゆえに、先ずはよりいっそう馬力を磨き、彼らに対抗できるような持ち味を得るのが重要ということなのでしょう。
過去2場所の内容として、立合いかましていかない点についても、(首とかに怪我もないようなので)欲を言えば当たれるようになれればいいですし、常時というのではなくともオプションとして出せるようになれば、相手にとっての怖さが増すのではないかと思います。


まあ、この人については、今あまり急いでアレコレ書かずとも、自ずと次の機会が訪れるはず。今回はこんなところに留めて、次は年末の全関取レビューで書けるかどうか…というのを楽しみに待ってみたい。その可能性は決して低くなさそうです。