千代翔馬富士男 出身:モンゴル 生年:平成3年 所属:九重 身長:183センチ 体重:136キロ

<立合い分析>
左足から鋭く踏み込み、額で当たりつつ左で胸のあたりを突くようにしながら右で前廻しを引くのが理想。
相手の得意四つなどに応じて左で前廻しを探るオプション、或いは前哨戦で突き起こしてから組みつきにかかることもできる。
他にも、張り差し(右で張って左差し狙いと右で張って右上手を取りに行くの両方あるが、とりあえず纏める)、かち上げ(左四つですが、右でかち上げることもある)、左で突きつつ当たると見せて右へ飛び上手を探る変化技など飛び道具も多彩。
29年は左膝・両足首など下半身の故障が目立ち、立合い低く出ようとしても頭だけが下がっている状態ですぐに腰が浮き、食い下がるつもりが簡単に引っ張り込まれるような場面も多く見られた。それゆえ駆け引きやケレンに勝機を見出さざるを得ず、手つきや呼吸具合に乱れが生じることも。


踏み込み足:左足が基本も、狙いによっては右で踏み込むケースもあり、(コンディションの問題も含め)踏み込み具合にも差異がある。原則論としては、なるべく固められるに越したことはないのだが…
手つき:相手が手をつくのを待ってからサッと両手を下ろしていく。手つき不十分の場合も散見
呼吸:立ち上がってから腰を割るまで・腰を割ってから手を下ろすまでの両方で相手よりも一拍後に動きたいタイプで、とりわけ手つきの局面においては自分の呼吸に固執する傾向が著しいため、不成立となるケースが多い。
 


<攻防分析>
両前廻しを引きつけての寄り身と、右上手・左下手を主体とした投げの強さが最大の持ち味。上体が起きてしまうと体がない分、突き押しの相手に胸を合わせても攻めあぐねることが多く、 強引な攻めで墓穴を掘ってしまうのは残念。やはり、頭をつけて相撲を取ることに徹して欲しい。
また、廻しを取れないときに右へ右へと回っていく動き、左を差した体勢で右からのひねりを入れながら左で振る動きは覚えられ、付け入られやすくなっている。まともに呼びこむところを攻められては、また足首に負担をかけてしまう悪循環になりつつあり、新入幕から二桁場所在位が近づく現状、小さくない壁に当たっている印象だ。


<平成30年の見どころ>
稽古で上がってきた力士が、両足首や右手首の故障など再三の怪我に泣いて思うように体を動かせないのでは苦しい。相撲を覚えられたという以外に、稽古量を十分に積めないことによる勘の鈍りが最近の停滞に繋がっているのだろう。
いずれにせよ、コンディション不良に喘ぎ雑な相撲を取りがちな状況を一刻も早く脱さねばならない。亡くなった先代師匠に昨年限りで土俵を去った先輩横綱…何よりの見本・目標となる人たちから受けてきた薫陶を省みて、怪我のないような体と相撲を作り上げてもらいたい。