朝乃山英樹 出身:富山 生年:平成6年 所属:高砂 身長:187センチ 体重:167キロ

<立合い分析>
堂々たる体格を誇る右四つ左腰タイプの力士ということで、白鵬や栃ノ心らと同じく右をかち上げ気味に固め、左は前廻し狙いという立合いが基本戦法となる。
ただ、下半身は硬い方で腰高の当たりにならざるをえないため、この立合い一本では左からのおっつけを持つ力士には格好の餌食となってしまう。そこで前哨戦の突っ張りを取り入れたことが幕下上位や十両で苦しむことなくスピード出世を果たせた要因と言えるのだろう。
その効果のほどは、同型である栃ノ心の最近における取り口を参照のほど…というわけだが、本人も参考にしているのかどうか、30年春の勢戦などでは、栃ノ心が時折見せる左右でかち上げるように相手を弾いてから突っ張っていくような立合いも採用している。

他にも、突いてくる相手に対して跳ね上げるような狙いも散見されるが、いずれにしても、立合い~攻防に展開していく際の腰が高く不安定であることに変わりはないため、さらなる進化を目指していくにおいては、少しずつでもその位置を低くできるに越したことはないが、同じくらいに腰を安定させるための努力を辛抱強く続けていってもらいたい。
栃ノ心に限らず、長い歴史の中でこの人のような取り方をする力士は多く出ており、どのような道筋を辿っていくべきかを指し示してくれる偉大な先人たちの跡を追いかけたい。


踏み込み足:左
手つき:先に両手を下ろして待つのが基本。後から立つ場合は、両手をさっと下ろしていく形。
呼吸:相手と動きを合わせながら、少しずつ早めに動いていきたい狙い。
学生相撲で自分より数学年上の先輩連がなかなか仕切りの遅さを改善しきれない中で、無駄な動作もなく比較的スムーズに順応している。



<攻防分析>
右四つ左上手で十分。強い引きつけで相手の腰を浮かせながらの寄りにはスケールの大きさを感じさせ、上手からぶら下げるようにしての投げ技も迫力がある。左腰の力士にしては左からのおっつけも出る方で、この点は栃ノ心を上回る魅力と言えそうだ。
課題は幕下以下有望力士特集の際にも触れ、<立合い分析>の項でも記したように「右半身にさせられると脆い」ということ。左腰であるゆえ、右差し手を浅い位置の上手やおっつけで殺され、左上手も取れない右半身の体勢になるとせん術がなくなり、棒立ち気味で防戦一方となって、最後はそのまま寄り切られるか、我慢できずにまともに呼び込んでしまうか。
この点を克服せんがために、前哨戦での突っ張りに活路を見出した点も既述の通りであり、現状では立ち腰であるがゆえに、上突っ張りで攻めきれず、まともに叩いてしまうなどの欠点があるにせよ、今後の磨き上げ次第で十分に強みの一つとしていけるだろう。

今後もう一つ栃ノ心を見習うとすれば、右からおっつけながら右を差す、あるいは左四つのままでも絞り上げて寄り切ってしまうような流れの習得か。立合いは勿論、流れの中でも右からの攻めが出るようになれば、より一層相撲の幅が広がっていくに違いない。