本日注目の二番、貴景勝は左からの突きで起こして間合いを作る流れが実に上手かった。栃煌山の右に対してきちんと対策を講じてきましたね。間合いができた後に関しては、余裕を感じさせる立ち回りでした。
そして髙安は薄氷の勝利。この対戦に限っては逸ノ城が両手をうまく使ってくるので、どうしても攻めあぐねてしまうのだけれど、そうした苦手意識が鮮明に現れた苦戦を辛くも凌ぎ切ったのだから、いかに今日の内容を引きずることなく明日以降に向かえるかでしょう。


それ以外では、伝言板で名前を挙げて以降も黙々と勝ち続けている優勝予想のあの力士については触れないことにして(笑)去年の九州を沸かせた隠岐の海の元気さがここ数日で目立ち始めているのは気になりますね。最終盤の割もそこまで厳しくならないでしょうから、スルスルと勝ち込んで三賞を取っていくのかも。



12日目注目の取組
貴景勝×玉鷲   過去の対戦成績は貴景勝の4勝2敗

貴景勝としては、今日の栃煌山戦とは一転、接近戦に持ち込めるかどうかが鍵になってきます。
中に入って押し上げる形さえできれば、両者の身長・体型の違いが作用して、貴景勝は前傾を意識する必要もなく自然に相手の胸から脇のあたりを押し上げる体勢が整うし、逆に玉鷲は中に入られてしまうと相手の球体に掴み所がなく、まともな反撃手段を得られぬまま土俵を割るだけ。
玉鷲が貴の球体を押さえ、持ち上げるような形で崩すためには、腕を伸ばすための間隔が求められますから、やはりその点が勝敗のポイントとなるのでしょう。

玉は一度胸で受けるような立ち合いを選択したこともありますが、最近はまた頭でかます立ち合いに戻しており、明日も変更はなさそうか。前々回は玉鷲の当たり良く、下がりながらも密着を許さない距離で取れたので、相手の左に合わせてタイミング良く右からの突き落としが決まった。一方、前回は貴景勝がつっかけ気味に出て玉鷲を立たせ、すかさず中から中から攻め立てたので、何もさせずに押し切ることができました。
今場所調子の良い玉鷲としては、五分に立てれば対抗可能という自信はあるはず。貴景勝は前回のようには立てないでしょうから、何か代わりのプランがあるのかどうか。
貴にとっては、13日目以降待ち受ける髙安戦の前に乗り越えねばならないもう一つの大きな壁。精神的にも、あるいは髙安戦以上の取りづらさがあるかもしれませんね。


栃ノ心×髙安  過去の対戦成績は、髙安の9勝8敗 不戦勝を除けば8-8の五分

最近の対戦では両者が体当たり気味に体をぶつけていくところから二次的な展開に進んでいくことが多かったのですが、先場所は髙安が頭で当たって左差し狙い、その左を栃ノ心が右から強烈におっつけて横向きにさせる完勝でした。
とはいえ、明日は髙安が体当たりの立ち合いに戻すでしょう。体調不十分の栃ノ心に押し込まれる可能性は薄いだけに、髙安はよく見て突き、いなしなどでも崩しながら攻め急がずに攻略していきたい。
左を差すにしても前に出ながらが理想で、しっかり胸を合わせ、相手の右を使わせないようにしたい。