宮城野部屋
昭和31年、横綱鳳の7代が死去した際に部屋閉鎖となったことで系統は途絶えたが、受け入れ先の高嶋部屋に在籍していた横綱・吉葉山が昭和35年に8代宮城野を襲って再興。小結・廣川の9代を経て、現在の幕内・竹葉山が後継となった。
9代遺族の意向により、9代の娘婿にあたる11代宮城野(元十両・金親)が新師匠となった時期もあり、竹葉山は15代熊ヶ谷に名跡変更の上で部屋付きに戻ったが、その後もろもろの事情により再度師匠が交代したため、当代には10代かつ12代の宮城野という複雑な表記を施さねばならないのである。

ともあれ、10代(12代)は不世出の横綱白鵬を育て上げた特級の実績を誇り、近年では白鵬の内弟子として加わった学生相撲出身力士たち(山口・石浦・炎鵬)の活躍も部屋を賑わせている。
停年まで3年あまり(ちなみに部屋付きの高島も同学年同月生まれのため、両者は殆ど同じタイミングで停年を迎える)、白鵬の去就とも絡み合った後継問題も気になり始める頃合いだが、3年あればいかようにも状況は変わるだろう。今はそれが角界全体にとっても明るい方向へと進んでいける性質のものであることを祈りたい。



主な注目力士
宝香鵬(H元 埼玉 184 154)
長く期待をかけられてきた逸材も、いよいよ三十路を迎える一年に。
最近は得意とする右四つ主体というよりも、部屋の横綱ばりの柔らかみと懐の深さを生かした自在の取り口が目立ち、場所によってムラはあるが、随分大きくなった体を持て余している感もない。
気魄満点の土俵態度は、空回りすることもありながら幕下を観る上で楽しみの一つにもなっている。地力の高さは誰もが認める人、今年こそは悲願を叶えてもらいたい。


大ノ蔵(H10 福岡 170 160)
中学卒業後の26年春初土俵、デビューから凡そ4年後の30年夏には新幕下と出世のスピードは早い。
豆タン型の体型に合った低く粘っこい押しを持ち味とする。幕下昇進は中位での6勝によるもので、まだ三段目一桁以上で勝ち越した経験はない。そうした地位では圧力負けして持って行かれる内容や、上体を前に倒しすぎて叩かれる負けも多いが、まだまだ若い力士だけに伸びしろは十分。稽古の中で山口や宝香鵬、或いは親交の深い友綱勢(魁ノ隆・魁錦ら)らを思わず引かせるような相撲が増えていくごと本場所での成績も変わっていくはずだ。

(H13 沖縄 174 124)
デビュー3年目の17歳は、31年初場所で新三段目昇進。
29年秋
に取り上げたときから体重は20キロ近く増加し、序二段では立合い一気・出足抜群の押し相撲として大いに成果を発揮したが、三段目で通用する水準にはなく、組み止められてしまうケースが多い。しかし、この人も先は長いのだから焦りは禁物だろう。同門には伊勢ヶ濱勢はじめ、手本に出来るような短躯・軽量の真っ向勝負型が揃っており、後に続かない手はない。