※実際の東西によらず、勝者を左に記載する。

序ノ口
7-0川渕(寄り切り)渡部5-2
身軽な体で気風良い相撲を取る川渕。目指すのは師匠や阿炎・彩のような突っ張り主体の激しい押し相撲だが、この日は5番相撲同様、左四つで組む格好に。
胸が合った体勢、互いの上手も深く決め手を欠く様相も、川渕じっくり勝機を探り、相手の出足にタイミング良く反応。上手側の捻りも効かせながら腰に乗せるような投げで体を入れ替え、西土俵に寄り切った。
※この後、もうひとりの全勝力士である同部屋の伊藤が序二段隠岐の浜に敗れたため、川渕の優勝が決定


序二段優勝決定戦
栃神山(上手投げ)隠岐の浜
隠岐の浜は例によって体当たりから先制、右左とねじ込んで出るが足運びは不安定。栃神山赤房側に下がるも深い左上手で振りながら右も割り込み、その右で起こすひと手間を入れてから向正面~白房方向を伝っての上手投げに出たのが良かった。土俵際際どかったが物言いつかず、栃神山が初の各段優勝。



三段目優勝決定戦
白石(叩き込み)北勝川
白石は立合いのもろ手突き強烈、重心低く簡単に起きない北勝川の顎があっという間に上がってしまった。受ける北勝川の喉元を両手で突いてからタイミングよく左に開き、去なし気味の叩き。最後は上手出し投げに近い形で土俵に這わせた。
三段目格付出しとしては、3年前の豊山以来となるデビュー場所での優勝。新幕下昇進となる来場所は、同程度の地位に照ノ富士や狼雅が同居しそうで序盤早々目の離せない熱戦が展開されそうだ。



幕下
7-0貴ノ富士(上手投げ)千代嵐6-1
貴ノ富士は立ち合いもろ手で突いてから左を差す狙い。これを果たし、次いで右から攻めんとするが、千代嵐左で突き上げ距離を作っておいての右巻き替え急襲、左も差し直してもろ差し。貴左おっつけでひとつ圧をかけてからの左巻き替えは強引かに思え、千代はすかさず右で差し手を殺しかかるのだが、貴すぐに右へ重心を移して深い右上手、下がりざま引きずるような上手投げを放つと、拠り所を失った千代は足を送れず、懸命に左をつきつけるも及ばなかった。
好調同士、5秒ほどの攻防にいくつもの目まぐるしい前さばきの応酬が見られ非常に面白かった。両者の現状に照らせば千代嵐の善戦ということになるが、やはり勝たねば何の意味もない。惜敗の土俵に崩れ落ち、痛恨の表情を浮かべた千代の姿が印象的であった。
一方の貴ノ富士、自身初の各段優勝を手土産に、生涯幕下には落ちぬ覚悟で黒廻しを捨てると宣言した。その意気や良し!十両定着と言わず、今年中の入幕を目指してもらいたいと思う。