土俵一路

本場所中の更新に加え、場所と場所の間は花形力士の取り口分析、幕下以下有望力士の特集などを書いています。 「本場所中も本場所後も楽しめる」をコンセプトとして、マイペースかつストイックに我が道を往き続けます。                他サイト等への転載はご遠慮下さい。

2014年10月

☆形式
1年後の関取昇進に向け、より可能性の高い「近未来型」と、2~3年後の昇進となりそうながらも、ポテンシャルの高さはピカイチ、「予備軍型」ランキングに分化、それぞれ20名ずつ、計40人とします。
「近未来型」は1年以内の昇進可能性が高いと予想する順、予備軍型は純粋に素質が高いと感じる順に並べました。
もちろん、両方に該当するタイプの力士も多くいるわけで、そのあたりなかなか「ピンポイント」とは行きませんが、できる限り「近未来型」には20代後半に入ってきたような力士や学生相撲を経験するなどある程度取り口が完成されているような力士を多く、一方「予備軍型」には叩き上げの10代力士や、まだまだ取り口自体は荒削りさが残るような素材を多く採用するようにしました。まあ、あくまで目安なので細かい部分は目を瞑っていただければと思います。



※その他
14年九州場所前時点で関取経験のある力士(竜電、千代嵐など)は除外。過去4度(10年初、10年秋、13年初、13年秋)のランキングに入れた経験のある力士は青字で表示、10年verで掲載したことのある力士(まあ、貴斗志だけですが)は太字で表示しています。
身長・体重は「相撲」誌9月号の数字に準拠していますが、一部例外有り。また、これまでは年齢を記載していましたが、今年からは平成○年生まれと記載、より「世代」を強調した構成としています。

 
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九州場所前どころか秋場所が終わったばかりですが、まあ細かいことは気にしないということで、前ブログ以来およそ1年ぶりの更新と行きましょう。


まずは、前回更新以降に新十両を決めた力士の紹介から。

 
<十両昇進を決めた1月verランクイン力士 > ※括弧内は新十両昇進場所
出羽疾風 近未来型1位(14年九州)
魁      近未来型3位(初)
肥後ノ城  近未来型4位(13年九州)
若乃島   近未来型11位(名古屋)
岩崎(英乃海)近未来型17位(14年九州)
旭大星   近未来型19位(名古屋)

達(輝)   予備軍型1位(14年九州)
大栄翔   予備軍型11位(名古屋)
琴恵光   予備軍型17位(14年九州)

<ランクイン外からの新十両力士>
逸ノ城(夏 14年初場所初土俵のため、前回ランキング対象外)


・・・ということで、
両部門の1位に置いていた出羽疾風と達が同時に新十両入りという完璧なタイミングで都合よく更新と相成ったわけですが(笑)その甲斐もあって、この1年に関しては時期的にランクイン不能だった逸ノ城以外はすべての新十両力士をランキング内に収めることが出来ました。近未来型は上位常連の悲願成就、予備軍型は地力急上昇からのワンチャンゲットとカテゴリ的にも概ね的を外さずに傾向を押さえられたのかなとは思っていますね。


では、今日はここまでとし、次回で
本題のランキング紹介を行います。


参考
第1回ランキング(10年初場所前) 
第2回ランキング(10年秋場所前)
第3回ランキング(13年初場所前)
第4回ランキング(13年秋場所前)

では、残り2日分は一気に。優勝争いに関係した3番を順番に見ていきます。

14日目
○13-1白鵬(上手出し投げ)逸ノ城12-2●
逸ノ城は白鵬がもっと立合いに駆け引きを仕掛けてくると思っていたのでしょうか、なんとなくアッサリふわっと立ってしまった感じがしました。どこかまだ左前廻し狙いや左おっつけの立合いを身につけ、芽を出せるようになってきた以前、対白鵬戦初期の把瑠都を思い出すようでもあり、ともあれ横綱に盤石の右四つ左上手を引きつけられ、自らは上手を取れない形を強いられては現状で到底勝ち目はありません。
横綱としては、翌日に藤井アナも言っていましたが、余分な投げなどに出ることなく、相手の出方をしっかりと見定めながら慎重に攻めていく。この形になれば逸ノ城としては右の下手を命綱に持久戦を目論むばかりで、巻き替えなり廻しを切るなりの嫌らしい動きはまだまだですから、そのあたりは横綱にも余裕があったでしょう。機を見て右下手に手をかけ、すぐに両側から引きつけて煽り、最後は逸ノ城が寄り返そうとしながらも顎が上がり、腰が引け気味になり上下のバランスの乱れたところを逃さず教科書通りの下へ打つ上手出し投げ。相当な重圧があったとは思いますが、そこは他の上位陣と較べても乗り越えてきた山場の数が違う大横綱。さすがは第一人者としか形容しようがない集中力と完成しきった取り口の安定度で見事に新鋭の挑戦を退けました。
 
千秋楽
●10-5安美錦(押し出し)逸ノ城13-2○
安美錦は自らが取組後に述懐したところによれば、やや左にずれながらまあるくなって踏み込み、右はハズ、左ではおっつけながら上手を取り、横にくっつきたかったのだと思うのですが、逸ノ城に右下手を引かれそうになったのを嫌がったのか巻き替えに出る。結果的にはこれが失敗で右から強烈におっつけられて苦しくなり、たまらず抱えられた左の差し手から肩透かしを引くも、これは苦し紛れ。予測したかのような逸ノ城の脚の送りが良かったのも確かですが、肩透かしに行く恰好・タイミング共にだいぶ無理があったと言わざるをえないでしょう。
もっとも、そう仕向けたのは逸ノ城の攻めが良かったから。重心の低い相手を無理に引っ張り込みにかかるのではなく、丸くなり返して挟み付けながら詰めていくあたりの姿勢は圧巻。師匠が今場所一番の相撲と舌を巻いたのも納得の取り口で今場所技能賞を受賞した業師安美錦のお株を奪ってのけました。

○14-1白鵬(掛け投げ)鶴竜11-4●
立合い右差しの白鵬も鶴竜におっつけられ、いつものように左で叩いて右に動くと突き起こしてから左四つに組み合う展開。初場所の決定戦では先に上手を引いた白鵬が主導権を握ったが、 この日は両者上手が取れずに下手を引き合う恰好でしばし膠着。
実況にあった通り、このあとはどちらが巻き替えに出るか、そしてそこからの差し身の応酬になるかと思ったのですが、鶴竜は右でおっつけながら上手を探り、闇雲に前へ攻めていく。白鵬はさせじと左から振って、腰をぶつけながら体を入れ替える。上手を取り、外掛けで踏ん張ろうとする鶴竜も既に土俵際。掛け投げで合わされて残す腰なく、転がした白鵬ともども土俵下へとなだれ込んだ。
白鵬としては落ち着いて相手の動きに反応したというところですが、鶴竜はあまりに攻めが無謀だった。力のこもった内容ではあったと思いながらも、好勝負の類として遇するにはいくばくかの抵抗を感じずにはいられない一番でした。


では、しばしのブレイクを経て、来週頭あたりから総括モードに入って行くことにします。ただ、来場所後が恒例の全関取レビュー予定ですので、あまり長くはしないと思います。 

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