では、今年も恒例の全関取レビューを計1月以上を要し、長々と更新していきます。初っ端はやはりこの大横綱から。
予め書いておきますが、振る舞いのことについてはこれまでの場所観戦記などで既に記したものがありますので、この場でとりたてて追記するようなことはありません。
白鵬 14-1
初日~2日目の相撲を見て、「少し取り口が上ずり加減」「下半身の具えが騒がしいのが気になる」と指摘した不安は高安戦で現実のものに。近年追う展開は苦手としていましたから、今場所もどうなのかと見ていましたが、久々の金星配給がよほど良い薬となったのか、そこから復調。終盤は形に拘らず飛び道具も見舞いながら先に先に仕掛けて動的に相手を翻弄していくしたたかさで他の追随を許しませんでした。
年間通して見ると、終わってみれば近年ではもっとも高水準の年間5場所制覇。今年中に大鵬の記録に並ぶとは予想していなかったのが正直なところでした。
賜杯を逃した春場所の終盤で指を負傷し、場所後にはインフルエンザで静養を余儀なくされるなど、体調不十分なまま臨んだ夏場所、さらには翌名古屋となかなか右四つの形になれず、薄氷を踏む展開も多く味わうなど終始取り口に精彩を欠く中でも大崩れはせず、夏は稀勢の里、名古屋は琴奨菊と優勝争いで食い下がった日本人大関にみすみす初優勝の栄誉を与えはしなかったし、コンディションの回復に成功した秋は逸ノ城旋風吹き荒れる中でも14日目の直接対決を難なく制して、第一人者の貫禄を示したといえるでしょう。
来年に向けては、本人も認める通り、「これ以上強くなることはない」ですし、イメージする通りに下半身が動かない場面も散見されるようになってきたのは事実。どんな大横綱でも勝てなくなる時はあっという間・・・ということがあるので確たることは言えず、逸ノ城を筆頭に照ノ富士、遠藤らドンドン若い力士が力をつけてきていますから、白鵬という第一人者をして彼らの若さを羨む機会も多くなることでしょう。
ただ、それでも来年いっぱいに関しては、実力的な部分に関して、幅の広さ、引き出しの多さを活かした「多少土台が揺らいだとしても、反応で捌き切ることが出来る貯金」は十分で、白鵬を中心とした情勢が動くことはないと見るのが妥当だろうと考えています。
もっとも、精神的な面で「33回」を達成してしまった後に、どれだけ虚無感なく同じ気持ちで土俵に向かえるかは逆説的な不安として過ぎらないではありません。
まあ、その点については、実際どんな顔つきで「達成後」の土俵に上がるかを見てみないことには判断がつかないところですね。
何にせよ、来年以降大横綱白鵬の土俵人生はいよいよ集大成の時期へと入っていくわけですが、様々な意味において、その数年が実り多く、災いなきものであることを願っています。
予め書いておきますが、振る舞いのことについてはこれまでの場所観戦記などで既に記したものがありますので、この場でとりたてて追記するようなことはありません。
白鵬 14-1
初日~2日目の相撲を見て、「少し取り口が上ずり加減」「下半身の具えが騒がしいのが気になる」と指摘した不安は高安戦で現実のものに。近年追う展開は苦手としていましたから、今場所もどうなのかと見ていましたが、久々の金星配給がよほど良い薬となったのか、そこから復調。終盤は形に拘らず飛び道具も見舞いながら先に先に仕掛けて動的に相手を翻弄していくしたたかさで他の追随を許しませんでした。
年間通して見ると、終わってみれば近年ではもっとも高水準の年間5場所制覇。今年中に大鵬の記録に並ぶとは予想していなかったのが正直なところでした。
賜杯を逃した春場所の終盤で指を負傷し、場所後にはインフルエンザで静養を余儀なくされるなど、体調不十分なまま臨んだ夏場所、さらには翌名古屋となかなか右四つの形になれず、薄氷を踏む展開も多く味わうなど終始取り口に精彩を欠く中でも大崩れはせず、夏は稀勢の里、名古屋は琴奨菊と優勝争いで食い下がった日本人大関にみすみす初優勝の栄誉を与えはしなかったし、コンディションの回復に成功した秋は逸ノ城旋風吹き荒れる中でも14日目の直接対決を難なく制して、第一人者の貫禄を示したといえるでしょう。
来年に向けては、本人も認める通り、「これ以上強くなることはない」ですし、イメージする通りに下半身が動かない場面も散見されるようになってきたのは事実。どんな大横綱でも勝てなくなる時はあっという間・・・ということがあるので確たることは言えず、逸ノ城を筆頭に照ノ富士、遠藤らドンドン若い力士が力をつけてきていますから、白鵬という第一人者をして彼らの若さを羨む機会も多くなることでしょう。
ただ、それでも来年いっぱいに関しては、実力的な部分に関して、幅の広さ、引き出しの多さを活かした「多少土台が揺らいだとしても、反応で捌き切ることが出来る貯金」は十分で、白鵬を中心とした情勢が動くことはないと見るのが妥当だろうと考えています。
もっとも、精神的な面で「33回」を達成してしまった後に、どれだけ虚無感なく同じ気持ちで土俵に向かえるかは逆説的な不安として過ぎらないではありません。
まあ、その点については、実際どんな顔つきで「達成後」の土俵に上がるかを見てみないことには判断がつかないところですね。
何にせよ、来年以降大横綱白鵬の土俵人生はいよいよ集大成の時期へと入っていくわけですが、様々な意味において、その数年が実り多く、災いなきものであることを願っています。