土俵一路

本場所中の更新に加え、場所と場所の間は花形力士の取り口分析、幕下以下有望力士の特集などを書いています。 「本場所中も本場所後も楽しめる」をコンセプトとして、マイペースかつストイックに我が道を往き続けます。                他サイト等への転載はご遠慮下さい。

2015年05月

14日目
○11-3照ノ富士(押し出し)妙義龍6-8●
張り差しに行ったところを先々場所のように崩されてしまうのではないかと危惧していましたが、さすが1度完璧にやられた相手に同じ立合いは採らなかったですし、何より右四つ正攻法で立ち向かって、左を引っ張り込み、右は前に出ながら差し込んで行き、実力者妙義龍に何もさせない完勝ですから、この内容の凄さも大関昇進へのムードを一段引き上げる要因になったのではないかなと。


千穐楽
○12-3照ノ富士(寄り切り)碧山9-6●
例のごとく張り差しに来られるも、まったく顔がぶれず、右を差して一気に琴奨菊を持っていった碧山の変身ぶりを観ていたでしょうから、張り差しを採用した過去3度とは違い、踏み込んでの右四つ狙い。碧山の出足を止め、右を差して突きつけながら前に攻め、上手も引いて盤石。力強いがぶりで詰める圧巻の内容で12勝目。
受け身になることが多い立合いで先手を取るため、張り差しやら手繰りやら張って右から踏み込んでいく流れやら、いろんな模索をしてきたわけですが、「原点」とも言える右四つ左前廻し狙いの型で見せた14~楽日の完勝ぶりはそれらの印象を吹き飛ばすほどに豪快で、ただただ目を見張るばかりでした。

●11-4白鵬(寄り倒し)日馬富士11-4○
日馬富士の意地と執念が産んだ対白鵬戦1年ぶりの白星が照ノ富士に初優勝と大関の座を齎しました。
一昔前にはこういう同部屋同士の援護射撃は多くありましたが、近年は上位陣の所属部屋が分散していたこともあり、聞かれなくなっていた。そういった意味でも照ノ富士の登場は新たな時代の呼び水となるのでしょう。

敗れた白鵬、この日はそれまで右肘に巻いていたサポーターを左に変えて登場。管理人は左の方が悪いんじゃないか(長年の古傷でもありますから、いつ疼いてきたとして不思議ではありませんしね)と感じ、それとなく示唆した書き方をしていたのですが(ツイッターにはもっと露骨に書いてましたけど)、何にせよ今場所は体調面の影響が大きすぎたように感じました。
もちろん、治り方次第という但し書きは要りますが、出直しの来場所にはまた強い姿を見せてくれるでしょう。  

12日目を終えた3敗でいつの間にかV戦線に浮上の嘉風、13日目の対戦相手はここまで星の上がっていない佐田の富士で、これは3年前の旭天鵬と全く同じ流れでしたから、割を見た時に、「もしかして・・・」との淡い期待を抱いたのですが、まあそうは上手くいかないですね。。

幕内
●10-3魁聖(上手投げ)豪栄道8-5○
白鵬戦で左肩を痛めた豪栄道、魁聖とは相四つで毎回胸の合う熱戦となるのですが、さすがに長い相撲は取りたくないというところだったでしょう、立合い右に動いて撹乱。
太田アナも触れていましたが、これまで動くとすれば左にずれて先に上手・・・という流れでしたから、右に飛んだという点で魁聖もいっそう慌てたでしょうし、数日前の分で運び足が良くなったという話を書きましたが、今場所ずっと自分から見て右側に押していく一方的な内容が続いていましたから、逆方向に動かれると実際の体勢以上に自分の流れを失ってしまいます。
ゆえに、先に上手を引いたものの、豪栄道が素早く右から巻いてその上手を切りながら自らの左上手に手をかけ、そのまま上手投げという連続攻撃に出ると、まったくついていけず。
両者ともこの内容に留まるのはやむなしというところでしたが、熱戦が期待された分拍子抜けの感は否めませんでした。

幕下
○7-0髙木(引き落とし)佐藤6-1●
幕下上位に好成績者が多く、逆に十両から下がってくる力士が少なそうだったので、高木は幕下上位の力士と7番目の相撲が組まれる可能性も低くないかと見ていましたが、星通り佐藤との直接対決に。
とはいえ、いずれにせよ「勝てば関取」の緊張する一番、立合いは低く当たってくる相手に右で張って左差し狙いに出る。差せないながらも相手の上体を起こし前に押し込んだはいいが、もう一度右で張ったのは余計。左を差しに体を寄せるところを佐藤にいなされ、黒房方向へと押し込まれて俵に詰まり危なかった。
しかし、佐藤が喉元を押してから定石通り腹のあたりに当たり直そうとするところで、俵からの力も得て踏ん張り、逆に低く当たってハズに当てるような形を作ったので、その圧力を受けた佐藤、もう一度当たり合ったところで足が流れてしまう。高木も両足が揃い、膝が内に入って同様に崩れかけたものの、バランスを崩しながらもたれかかった佐藤がちょうど自分の体を持ち上げてくれるような格好になったので、そこを逃さず押しつぶしての引き落とし。
幕下優勝を果たし、初土俵から所要8場所でのスピード新十両も決定的となりました。

正直、この人が今場所後に十両へ上がるとは予想できなかったので、個別記事も作りきれていないのですが、2日目付で取り上げて、主な取り口や特徴について触れておけたのはせめてもの救いだったかなと。。
本人が話したとおり、先場所の初負け越しを糧に、自分の弱点(2日目付参照)をきっちり修正させてきた今場所でしたし、よく相撲を知っている力士なので、新十両の来場所もある程度は目が出るんじゃないかなと期待しています。


三段目
もう1人の全勝大天白が序二段全勝の飛翔富士に敗れたため、勝者が優勝となった相山×大鷹山は、長身の大鷹山が胸を合わせて有利に進めたが、相山が動きまくって相手の腰を落ち着けさせず翻弄。最後は右下手豪快に投げ捨てて、初の各段優勝。

序ノ口
なぜか6-0同士の割が組まれず。
宇良は序二段5-1の琴宮倉を立合い潜り込んでの足取りで圧倒。一方、栄富士は序二段全勝の三段目上位経験者栃乃島と組まれ、押し込みながらも悪い膝が踏ん張れずに叩きこまれて土がつき、宇良の優勝が決まりました。
栄富士にとってはなんとも不運な割になったなあと同情を禁じえません。

赤字は新昇進 青字は再昇進 緑字は陥落


白  鵬  横綱  日馬富士
鶴  竜
稀勢里  大関  豪栄道
琴奨菊       照ノ富士
栃煌山  関脇  逸ノ城
宝富士  小結  妙義龍
栃ノ 心  前頭  佐田海
高  安    2  碧  山
  勢     3  魁  聖
安美錦    4  豪  風
隠岐海    5  旭秀鵬
嘉  風    6  臥牙丸
德勝龍    7  豊ノ 島
玉  鷲    8  大砂嵐
佐田富    9  誉富士
阿夢露    10   旭天鵬
北太樹    11   遠  藤
琴勇輝    12   時天空
英乃海    13   千代大龍
豊  響    14   青  狼
鏡  桜    15   里  山
千代鳳    16

<新大関>
突然覆る可能性は否定出来ないが、近年の傾向から予想すれば照ノ富士は優先順位でカド番の琴奨菊を逆転することはなく、大関最下位に就くことが有力。

<三役昇降>
西関脇7勝の妙義龍の東前頭1陥落か西筆頭9勝栃ノ心の東前頭1据え置きか・・・という悩ましすぎる比較。番付編成に関しては、あくまで近年の傾向が重要なので、あまりこれ見よがしに過去のデータを持ち出す必要もないですが、一応前者は平成4年、後者は昭和49年以来前例がありません。
張出を作って両者とも三役に残す運用がベストですし、新聞予想でもその形が幾つか出ているようなので、是非それを願いたいですが、現実的には厳しいだろうというのが率直な感想です。

で、最終的にどちらを三役に残したかという点についての根拠はもちろんあるのですが、敢えて「近年の番付編成における傾向を総合的に判断し・・・」という曖昧なフレーズを用い、お茶を濁させていただきます。
コメントで「答え」を指摘された場合は、素直に「そうだ」と書きますけどね。


<幕内ー十両昇降>
大栄翔or輝まで上げてしまうという考え方もありそうですが、新入幕は既に2名出ているので無理して引き上げることもなさそうか。おそらくは千代鳳or貴ノ岩でどちらを残すかが最大のポイントになるでしょう。



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