「協会員はしんみりしているけど、お客さんには喜んで帰ってもらおうと。特別なことを一番嫌がる理事長だったから」
場所後の冬巡業で尾車部長が発したコメントですが、急逝の翌日となった14日目の土俵で貫かれたも姿勢も同様のものでした。軽々しくは言えないけど、個人的にもこれで良かったのだと思います。
幕内
●6-8栃ノ心(下手投げ)勢11-3○
栃ノ心は白鵬戦や照ノ富士戦のように左にずれて上手を探る立合いが良くなかった。数度指摘している通り、これでは上手は取れても深くなってしまう。勢は右下手が生命線の力士ですから、ずれなくても上手は取りやすいし、先場所のようにまともに左前廻し狙いで踏み込み、圧力をかけていくのが一番なのですが、勝ちを意識する気持ちの強さ所以か、立合いも少し合わないところがあって、迷いが生まれてしまったのかもしれません。
深い上手に深い差し手は相性抜群、先手を取るための左上手のはずが、逆に右から振って左おっつけと勢に先手先手で動かれると、栃ノ心も左の位置を浅くしてから引きつけて寄りますが、勢としては、日馬富士戦や先場所の栃ノ心戦とは違い、左を利かせて相手の右下手を許していない分、今度は下手投げを打った際の左足をしっかり左方向へと動かすことができました。勝負を決めた青房方向、幕内での自己最多に並ぶ11勝目の勝ちを確信し、見得を切るかのようなドヤ顔も冴え渡る。
一方、終始焦りが際立ち、自滅気味に星を落とした栃ノ心は新関脇を目指した場所で痛恨の負け越し決定。年間通して上位に定着した一年を良い形で締めくくることは出来ませんでしたが、もう一度前を向いて、来年は関脇に留まらない高みを目指してもらいたい。そして、厳しいことを書くなら、この取組には、そうしたスケールの将来を目論むにおいての課題が凝縮されていたように思います。
●8-6鶴竜(押し出し)日馬富士13-1○
立ち合い、右で肩を押して、左廻し狙いの両力士、深く下手を引いた日馬富士がすぐさま左へ回って出しながら右を巻き替えんとし、腰が入りそうになりながらもこれを果たして下手を引くと、鶴竜も右で巻き替え。日馬富士、これに合わせて右を離し、鶴竜の右膝を押さえながら左から出し投げを打って崩すと、これが決定打に。後ろについて止めを刺そうとするところ、最後は鶴竜が向き直り加減であったため、決まり手は押し出しとなった。
「(終盤は)駒の損得より速度」という将棋の格言をなんとなく思い起こさせるような、非常にめまぐるしい展開を日馬富士が制し、この後の取組の結果によって単独首位浮上も実現。2年ぶりの優勝に王手をかけました。
場所後の冬巡業で尾車部長が発したコメントですが、急逝の翌日となった14日目の土俵で貫かれたも姿勢も同様のものでした。軽々しくは言えないけど、個人的にもこれで良かったのだと思います。
幕内
●6-8栃ノ心(下手投げ)勢11-3○
栃ノ心は白鵬戦や照ノ富士戦のように左にずれて上手を探る立合いが良くなかった。数度指摘している通り、これでは上手は取れても深くなってしまう。勢は右下手が生命線の力士ですから、ずれなくても上手は取りやすいし、先場所のようにまともに左前廻し狙いで踏み込み、圧力をかけていくのが一番なのですが、勝ちを意識する気持ちの強さ所以か、立合いも少し合わないところがあって、迷いが生まれてしまったのかもしれません。
深い上手に深い差し手は相性抜群、先手を取るための左上手のはずが、逆に右から振って左おっつけと勢に先手先手で動かれると、栃ノ心も左の位置を浅くしてから引きつけて寄りますが、勢としては、日馬富士戦や先場所の栃ノ心戦とは違い、左を利かせて相手の右下手を許していない分、今度は下手投げを打った際の左足をしっかり左方向へと動かすことができました。勝負を決めた青房方向、幕内での自己最多に並ぶ11勝目の勝ちを確信し、見得を切るかのようなドヤ顔も冴え渡る。
一方、終始焦りが際立ち、自滅気味に星を落とした栃ノ心は新関脇を目指した場所で痛恨の負け越し決定。年間通して上位に定着した一年を良い形で締めくくることは出来ませんでしたが、もう一度前を向いて、来年は関脇に留まらない高みを目指してもらいたい。そして、厳しいことを書くなら、この取組には、そうしたスケールの将来を目論むにおいての課題が凝縮されていたように思います。
●8-6鶴竜(押し出し)日馬富士13-1○
立ち合い、右で肩を押して、左廻し狙いの両力士、深く下手を引いた日馬富士がすぐさま左へ回って出しながら右を巻き替えんとし、腰が入りそうになりながらもこれを果たして下手を引くと、鶴竜も右で巻き替え。日馬富士、これに合わせて右を離し、鶴竜の右膝を押さえながら左から出し投げを打って崩すと、これが決定打に。後ろについて止めを刺そうとするところ、最後は鶴竜が向き直り加減であったため、決まり手は押し出しとなった。
「(終盤は)駒の損得より速度」という将棋の格言をなんとなく思い起こさせるような、非常にめまぐるしい展開を日馬富士が制し、この後の取組の結果によって単独首位浮上も実現。2年ぶりの優勝に王手をかけました。