稀勢の里寛 出身:茨城 生年:昭和61年 所属:田子ノ浦 身長;187センチ 体重:175キロ タイプ:左四つ左腰型
色々言われることが多いものの、28年秋に宝富士が立合いの角度を胸→頭に変更すると、同九州では自らも立合いの角度を低くかますように立っていくなど、相手に関する研究も少なからず出来ている方で、28年春・夏と連続であげた13勝にはその成果がよく現れていた。
ただ、相手側からの研究も相応に進んでおり、名古屋・秋と出足の逆側に変化されると大きく崩れ、九州での再戦では前回変化された残像が残っていたのか、中途半端な立合いで敗戦を招くなど、「戦術負け」による取りこぼしへと繋がっている。
言い換えれば、自分十分の立合いに関するイメージ作りには成功している反面、相手に意表を突かれ、先手を取られた場合における準備の不足が目立つので、新年はこの点をより突き詰めていくことができるかどうかに注目していきたい。
それでも以前と比べれば指弾すべきような立ち渋りは目立たなくなり、立合い不成立の数自体も減っている。
☆立合い技一覧
①左おっつけ
3横綱はじめ、照ノ富士、琴奨菊、栃ノ心、栃煌山ら右四つ、ないし右四つのメカニズムにて左足から踏み込んでくる一部の力士に対して用いる。
左足で小さめに踏み込み、かましながら、右で相手の肩口や喉元を押さえつつ左おっつけで挟み付け、左を差し勝つ狙い。28年九州はいずれもこの立合いから最大の武器である左おっつけを利しての展開にて3横綱を連破した。
また、碧山、琴勇輝らもろ手から突き放してくる相手に対しても効果的で、右の突きを左おっつけで外して攻略の起点とする。頭から出て来られると多少厄介だけれど、③の張り差しを併用し、意識させることで立合いの突っ込みを軽減させている。
上記した力士以外には殆ど用いないのが不思議なところで、もっともっと使う頻度を高めても失敗をすることはないだろうと感じているゆえ、頻度自体では落ちるこちらの型を①に据えている。
このあたりは、いずれ対戦相手別の記事にて精査したい。
②左差し
右足で踏み込み、左を固めつつ左肩で当たって左を差さんとし、右で抱えるかおっつけるかしながら、じわじわと得意の左四つを作っていく。宝富士らスンナリ左四つに組める相四つ力士をはじめ、妙義龍らハズ・おっつけを交える押し相撲タイプの相手、魁聖ら喧嘩四つで出足負けも差し負けもしない自信のある相手に対して用いる。
どうしても立合いで受け加減になるため、計算を違うと28年九州で遠藤の出足に一蹴されたようなことが起きうるし、隠岐の海や正代のような両差し狙いの相手には右からの攻めが高く、締め上げが利かないと全然余裕がなくなり、そうしたときに無理やり挟み付けて出ようとする玉砕的な取り口で墓穴を掘りかねないため(28年秋、九州での敗戦がその流れ)、28年春・夏くらい踏み込みが安定して腰がブレず、コンディションの安定している時ならばともかく、右足首痛で右の攻めが弱く、左肩の不安で左の利きが悪かった同秋・九州では、不足感のほうが目立ったことは否めない。
また、この立合いで両足跳びを用いる場合もあるが、あくまで左を固め、じわじわと左四つに持ち込む構想の上でならば安定しやすいため、問題とは思わないし、この立合いを選択している対戦相手(あまり出足のない四つ相撲など)にも概ね誤りはない。
③張り差し
右で張って左差し狙いの型。一時は乱用に近いほど多く用いていたが、いつの頃からかすっかりと減り、また27年頃からしばしば使うようになっている。
対象としては、①でも書いたとおり、かましてくるタイプの突き押し相手が大半で、以前よりも右手の振り抜きが小さく、左を差すにおいての体の寄せも素早くなるなど精度は向上している。戦術の幅を拡げる意味でも、四つ相撲相手に用い始めたとて、そう疵にならなさそうだが…
<立合い分析>
27年の終わりごろから、特定の相手に対して左踏み込みから左おっつけを生かす立合いを久々に使い始め、従来的な右足で踏み込んで左差しを狙う立合いとの併用は一定の効果を齎していると言えるだろう。色々言われることが多いものの、28年秋に宝富士が立合いの角度を胸→頭に変更すると、同九州では自らも立合いの角度を低くかますように立っていくなど、相手に関する研究も少なからず出来ている方で、28年春・夏と連続であげた13勝にはその成果がよく現れていた。
ただ、相手側からの研究も相応に進んでおり、名古屋・秋と出足の逆側に変化されると大きく崩れ、九州での再戦では前回変化された残像が残っていたのか、中途半端な立合いで敗戦を招くなど、「戦術負け」による取りこぼしへと繋がっている。
言い換えれば、自分十分の立合いに関するイメージ作りには成功している反面、相手に意表を突かれ、先手を取られた場合における準備の不足が目立つので、新年はこの点をより突き詰めていくことができるかどうかに注目していきたい。
踏み込み足:立合いにまず左おっつけを生かしたい場合は左足 左を差したい場合は右足
手つき:相手によって変えており、ざっくり書くと、先に両手を下ろすような相手には後から腰を割ってサッと両手を下ろすし、立合いの遅い相手には先に仕切って相手を待つことが多い(手つきは右→左の順)。
呼吸:上記の通り、広い意味では相手に合わせているのだけど、個別の勝負においては相手との呼吸自体を合一させているわけではないということになる。それでも以前と比べれば指弾すべきような立ち渋りは目立たなくなり、立合い不成立の数自体も減っている。
☆立合い技一覧
①左おっつけ
3横綱はじめ、照ノ富士、琴奨菊、栃ノ心、栃煌山ら右四つ、ないし右四つのメカニズムにて左足から踏み込んでくる一部の力士に対して用いる。
左足で小さめに踏み込み、かましながら、右で相手の肩口や喉元を押さえつつ左おっつけで挟み付け、左を差し勝つ狙い。28年九州はいずれもこの立合いから最大の武器である左おっつけを利しての展開にて3横綱を連破した。
また、碧山、琴勇輝らもろ手から突き放してくる相手に対しても効果的で、右の突きを左おっつけで外して攻略の起点とする。頭から出て来られると多少厄介だけれど、③の張り差しを併用し、意識させることで立合いの突っ込みを軽減させている。
上記した力士以外には殆ど用いないのが不思議なところで、もっともっと使う頻度を高めても失敗をすることはないだろうと感じているゆえ、頻度自体では落ちるこちらの型を①に据えている。
このあたりは、いずれ対戦相手別の記事にて精査したい。
②左差し
右足で踏み込み、左を固めつつ左肩で当たって左を差さんとし、右で抱えるかおっつけるかしながら、じわじわと得意の左四つを作っていく。宝富士らスンナリ左四つに組める相四つ力士をはじめ、妙義龍らハズ・おっつけを交える押し相撲タイプの相手、魁聖ら喧嘩四つで出足負けも差し負けもしない自信のある相手に対して用いる。
どうしても立合いで受け加減になるため、計算を違うと28年九州で遠藤の出足に一蹴されたようなことが起きうるし、隠岐の海や正代のような両差し狙いの相手には右からの攻めが高く、締め上げが利かないと全然余裕がなくなり、そうしたときに無理やり挟み付けて出ようとする玉砕的な取り口で墓穴を掘りかねないため(28年秋、九州での敗戦がその流れ)、28年春・夏くらい踏み込みが安定して腰がブレず、コンディションの安定している時ならばともかく、右足首痛で右の攻めが弱く、左肩の不安で左の利きが悪かった同秋・九州では、不足感のほうが目立ったことは否めない。
また、この立合いで両足跳びを用いる場合もあるが、あくまで左を固め、じわじわと左四つに持ち込む構想の上でならば安定しやすいため、問題とは思わないし、この立合いを選択している対戦相手(あまり出足のない四つ相撲など)にも概ね誤りはない。
③張り差し
右で張って左差し狙いの型。一時は乱用に近いほど多く用いていたが、いつの頃からかすっかりと減り、また27年頃からしばしば使うようになっている。
対象としては、①でも書いたとおり、かましてくるタイプの突き押し相手が大半で、以前よりも右手の振り抜きが小さく、左を差すにおいての体の寄せも素早くなるなど精度は向上している。戦術の幅を拡げる意味でも、四つ相撲相手に用い始めたとて、そう疵にならなさそうだが…