土俵一路

本場所中の更新に加え、場所と場所の間は花形力士の取り口分析、幕下以下有望力士の特集などを書いています。 「本場所中も本場所後も楽しめる」をコンセプトとして、マイペースかつストイックに我が道を往き続けます。                他サイト等への転載はご遠慮下さい。

Category:幕下以下の力士 > 時津風一門

荒汐部屋 所在地 東京都中央区日本橋浜町

<所属年寄・裏方一覧>
師匠 荒汐(元幕内・蒼国来)
行司 式守一輝(幕下格行司)
床山 床仁(一等床山)
床山 床光(四等床山)


<近況>
・荒篤山、遅咲きの花を咲かせ、3年名古屋場所での新十両が決定!
・3年春場所で蒼乃駿がデビュー。当代荒汐となって以降、最初の弟子であることが四股名の上でもよく現れている。
・もう一人、先代時から部屋に住み込んでいる研修生がいるはずなのだけど、デビューはいつ頃になるのだろう。
・昨年名古屋場所後、師匠の不祥事により閉鎖された中川部屋から一等床山の床仁が加わった。



当ブログ注目力士

<特別掲載>
荒篤山(生年:平成6年早 出身:神奈川 身長:181センチ 体重:160キロ 初土俵:平成21年秋)
初土俵からおよそ12年、所要69場所で夢を叶えた晴れの新十両力士。
以前は半端に組んでしまう相撲も多かったが、今はとにかく突き押しに徹し、組み止めようとする相手の差し手や前廻しを懸命に振りほどいていく姿が印象的。体重もデビュー時は100キロほどしかなかったそうだが、10年以上経ってすっかり肥り、堂々のあんこ型に成った。

頭でかまして行くものの立ち合いは高い方で、素早く喉輪やハズで押し上げる体勢に持ち込みづらいため、下から下からあてがってくる相手は苦手。その代わり上から下に手を使えるので、かっぱじき気味の動きには転じやすく、前廻し狙いの相手を捌く上手さは光っている。
決して馬力がないわけではないが、相撲の性質的には守りの強さを生かしながら取るほうが安定する木村山(現・岩友親方)タイプで、そうした自らの特長を的確に自覚し始めたことが成長のキッカケ。
なおかつ、土俵際の逆転技だけでなく、逆襲に転じてしっかり相手の土俵で決着をつけられるようになったのが関取の座を掴んだ要因だろう。

後の先型の突き押しとでも言うべき、今の相撲を信じ迷わず取っていけば、十両定着も現実的な目標。その上…となると断言はしきれないが、何かまた新たな強みが現れてくることを期待しながら当面の土俵を見ていこうと思う。


若隆元
(生年:平成3年 出身:福島 身長:183センチ 体重:122キロ 初土俵:平成21年九州)
学法福島高出身で、デビューは荒篤山から1場所遅れの21年九州。24年名古屋には幕下に上がったが、そこからが長く、左肩や足首の怪我にも泣いてきた。
30年は上半期から好調。はじめて一桁の番付も経験したが、足首の状態が悪くて後半2場所は失速。31(元年)以降も15~20枚目近辺での一進一退が続いている。

右四つ左前ミツが得意とされているが、左を深く差して右から攻めるような流れでも強く、何にせよ左を早く取るという自分の相撲に拘り抜くことで活路を開くしかない。
体重が125キロくらいまで増えて、立合いの突き起こしに圧力が出てくれば…とは誰より本人が望み続けているだろうに、どうにも実現し得ないことは口惜しい限りだ。


幕下以下、その他の所属力士
飛驒野(生年:平成2年 出身:富山 身長:179センチ 体重:139キロ 初土俵:平成23年九州)
十両・若元春と同じ23年九州、相撲経験なしで角界に飛び込んだ21歳は、2年初場所、30歳にして初めて三段目の上半分(西40枚目)に到達。

寛龍(生年:平成4年 出身:栃木 身長:178センチ 体重:112キロ 初土俵:平成20年春)
いつの間にか部屋の現役では最古参になった29歳。体は小さいがなかなかの力相撲で場内を沸かせ、うっちゃりなどアクロバティックな相撲でも魅せる。最高位は三段目東21枚目。幕下入りが悲願だ。

常川(生年:平成6年 出身:富山 身長:182センチ 体重:127キロ 初土俵:平成25年春)
高校時代は砲丸投げの選手。入門時の記憶はないのだが、当時のプロフィールを見ると180センチ・140キロとなっており、今のほうが痩せている。三段目40目台の最高位を毎年少しずつ更新中。

丹治(生年:平成15年早 出身:福島 身長:186センチ 体重:119キロ 初土俵:平成30年春)
次代を担う身体能力お化け。新体操・野球・陸上など様々なスポーツを経験している。
中学卒業後の入門から2年かからず三段目、大胆な取り口ゆえ怪我も多かったが、その間もコツコツ体を作り続けたのだろう、入門時69キロの体がおよそ3年で50キロ増!段々と正攻法の勝ち味も板につくようになってきた。
3年名古屋は3度目の三段目昇進。そろそろ定着してもおかしくはない。


廣瀬(生年:昭和63年 出身:徳島 身長:177センチ 体重:135キロ 初土俵:平成21年秋)
新十両荒篤山と同じ、21年秋場所初土俵。いつの間にやら部屋の現役では最高齢になった。
20歳で相撲経験なく入門し、最高位は三段目東61枚目。

綿谷(生年:平成11年 出身:石川 身長:176センチ 体重:92キロ 初土俵:平成27年夏)
「わたや」ではなく、「わたたに」。中学時代は柔道をしていたが、入門後は押し相撲を徹底。

蒼乃駿(生年:平成14年早 出身:鹿児島 身長:167センチ 体重:75キロ 初土俵:令和3年春)
高校までは剣道をしていた。初めて序ノ口についた3年夏場所は3勝4敗。まずは押しを磨く。




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中川部屋

<所属年寄・裏方一覧>
師匠 中川(元幕内・旭里)
呼出 耕平(幕下呼出)
床山 床仁(一等床山)
床山 床春(三等床山)
世話人 白法山(元幕下・白法山)

<近況>
・31年春入門の吉井、デビューから僅か1年・16歳での新幕下濃厚。
・向の岡工・笹崎が2年初場所で初土俵。
・大ベテランの春日国(元年9月)・春日岫(2年春)が引退。着実に世代交代が進む。


主な注目力士
旭蒼天(生年:平成5年 出身:モンゴル 身長:189センチ 119キロ)
当初弟子入りした高望山の高島部屋はデビュー前に閉鎖。受け入れ先の春日山部屋で初土俵(23年9月)を踏んで以降も、20代春日山→21代春日山→一時預かり先の追手風部屋→現在の中川部屋と、めまぐるしく所属や師匠が入れ替わってきた。
四股名も高望山の(もしくは「高」島部屋の)「高」を貰い受けた高春日に始まり、後援者の苗字から取った種子島、当代中川の現役名(旭里)に由来する旭蒼天と節目ごと原型を留めないレベルで変わり続いている。
本来中堅どころの年齢も、古参揃い&春日山部屋閉鎖時の大量引退を経た部屋においては有数の若手。そんな立場が2人の新弟子加入によって変わったこと、とりわけ鳴り物入りの中学横綱・吉井の存在が刺激になったのか、元年下半期は3場所連続で自己最高位を更新し、自身初の15枚目以内も記録。2場所連続3-4で跳ね返された後の2年春では、最初の相撲から6連勝して自身初の各段優勝にあと一歩まで迫った。

立ち合い思い切り突き刺さり、両前廻しを探りながら真っ向出ていく取り口にとって最大のハードルは120キロ足らずの痩身。もう少し体力がついてきさえすれば、早く立つことに拘りすぎている感の濃い立ち合いのみならず、前傾が深すぎるあまりバッタリ前に落ちることの多い取り口全般にも余裕が生まれるのだろうが…厳しい幕下上位の争いを抜けるには、まだまだ決め手不足の印象だ。


旭勇幸(生年:平成6年 出身:神奈川 身長:176センチ 体重:133キロ)
向の岡工高相撲部を経て、25年初場所で初土俵を踏んだ24歳。デビューから1年は本名の濱上で取り、26年1月以降濱春日、中川部屋所属となった(29年1月)のを機に義春日と改め、さらに元年名古屋からは師匠の現役名や出身地などから取った旭勇幸を名乗っている。
入門から6年かかって元年夏場所新幕下昇進。しかし、改名直後の元年秋~九州を右足首の怪我で連続休場して、あっという間に序二段下位まで降下してしまった。2年初場所はさすがの7戦全勝(決定戦で宇良に敗戦)も、翌春場所は大胸筋を痛めて途中休場。やや強引に見える再出場で勝ち越したとはいえ、その後の経過が気がかりだ。

左前廻しを浅く引いて食いつくか、突き起こして出ていくかを相手によって使い分けるタイプだが、基本的には前者で、二歩目の足を素早く運べれば自分のペースに持ち込める。とにかく、左を使わなければ相撲にならない力士とあって左大胸筋の負傷は死活問題。無理をしなければ回復する性質の怪我だけに、コロナ禍による調整期間を奇貨として、じっくり治療に専念してほしいと思う。


吉井 
生年:平成15年 出身:静岡 身長:177センチ 体重:149キロ

ホープたちの現在地 納谷・北の若・吉井より引用
落ち着き払った土俵態度が光る「心」
肩をつけて相手と密着し、腰の寄せ、足の送りも巧みな左四つの「技」
安芸乃島を思わせる固太りで粘りのありそうな「体」
心技体すべてに16歳とは思えないほどの味わい漂うお相撲さんらしいお相撲さん。さりげなく廻しを切ったり、肩透かしを引いて差しにいったり、とにかく相撲を取り慣れてるなと、さすがは中学横綱という技量を持っています。
ただ、今の時点ではまだテクニック主体という印象。踏み込みは小さく、前さばきで相手と揉み合いながらじわじわと自分の形を作る相撲ですから、幕下ともなれば簡単には勝たせてもらえない。
具体的には、おそらく速攻型の相手にパッと入られるとか、体力のある人にガバっと上手を引かれて胸が合っちゃうような内容が増えてくるでしょう。
春場所の宗像戦(さほど体の変わらない相四つ)、先に上手を引かれての寄りで完封された一番をバネに、出足をつけること・相手に上手を与えないことを意識しながら稽古し、それが身についてきた暁には幕下定着~さらにその上も見えてくる。
もちろん早くに上がれるに越したことはないですが、幕下下位を抜け出すのに1年かかろうと2年かかろうと、最終的に力をつけて上がればいいだけのこと。この速さで上がってきた人だからこそ今後は結果を焦ることなく見届けていきたいですね。
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追手風部屋

<所属年寄・裏方一覧>
師匠 追手風(元幕内・大翔山)
行司 式守鬼一郎(幕内格行司)
床山 床作(二等床山)
床山 床風(四等床山)

<近況>
・叩き上げの大翔前が初土俵から7年で新幕下昇進。
・高校相撲経験者の大喜翔、31年1月の初土俵から1年あまりで順調に幕下へ。


主な注目力士
大翔龍(生年:平成元年 出身:大阪 身長:173センチ 体重:145キロ)
平成17年秋場所初土俵のベテランは、遠藤の付け人としても有名。
根は左四つだが、立合いは短躯かつ丸い体で巧みに二本差しを狙う形が大半。その取り口は知れ渡ってるゆえ挟み付けられやすくもあるが、どうにか掻い潜って入り込まんとする攻防は見ごたえがあり、追い詰められた土俵際には意外なうっちゃり腰があるため、最後の最後まで目が離せない。
30年は自己最高位を更新する一桁枚数も記録。最近は怪我で体調不十分な場所も散見されるが、下位に落ちればきっちり大勝ちして番付を戻すなど、30歳を越えても力量に陰りを感じさせないのは頼もしい限りだ。
ちなみに、平成初期にも当代追手風の兄弟子にあたる同名力士が立浪部屋に在籍していたが、こちらは190センチをゆうに越える超長身というのが面白い。長尾(のちの舞の海)が幕下付出で初土俵を踏んだ場所にデビュー戦の相手として対戦していることから映像にもよく登場するが、当時の四股名は翔龍。平成4年に記録した幕下3枚目が最高位で、「現」大翔龍にはこの地位を越えて新十両を掴んでもらいたい。


大翔前
(生年:平成9年 出身:香川 身長:171センチ 体重:126キロ)
ムササビのように「大きく前へ翔んでいく」目覚ましき躍動感。翔ぶように踏み込んでいくがゆえに足運びはバタつきがちで叩かれやすく、また出足を止められてしまうと立ち腰になるなどハマらなかった場合の弊害は大きいが、身体能力の高さを生かした取り口は魅力的。
四つになってしまうと殆ど何もなく、今後も突き押し一本を伸ばしていくことに尽きるだろう。タイプとしては細かい突っ張りを用いるよりも、突きの腕をグイッと伸ばして相手を仰け反らせる大栄翔型に適性を感じる。


大翔成
(生年:平成11年 出身:熊本 身長:171センチ 体重:121キロ)
芦北高相撲部出身。デビュー1年で三段目上位に進出、元年夏場所では三段目で復帰途上の照ノ富士に勝ち、その名を揚げた。2年初場所では三段目一桁の地位で惜しくも負け越したが、幕下昇進にそう時間はかからないだろう。
大翔丸タイプの型にはまった押しが良く、挟み付けるような突き落としの上手さも兄弟子譲り。体重はプロフィール以上に大きく見えるし、実際にもっと大きくなるだろう。
四つになった際も、土俵際での体の突きつけ方などには非凡なセンスを感じるのだが、小兵の部類でガバっと横ミツを引き、まともに胸を合わせようとするのが難点。四つは四つでもサッと中に入り込んでいく芸を磨き上げるのであれば通用する余地はありそうだが…


大喜翔(生年:平成12年 出身:香川 身長:182センチ 体重:143キロ)
高松南高校相撲部出身で、追手風部屋では大翔宗の8学年後輩にあたる。31年初場所のデビューから1年あまり、2年夏場所の新番付では早くも幕下昇進を果たしている。
似たタイプとしては大成道。ゴツい体躯でブリブリ前に出る気持ちの良い取り口だが、左脇が空きやすいのも共通点で、良いところまで押し込みながら逆転負けを喫する場面が散見される。
しかし、ここ数場所は突っ張りを使いながら相手を正面から逃さない安定した突き押しが出るようになり、ノンストップで幕下昇進を果たす原動力に。早くも突き押し力士に不可欠な自分の距離感を定めつつあるのは頼もしい限りだ。多種多様な関取衆の胸を借りられる環境も追い風に、同学年かつ同時期デビューの北の若・栃神山を猛追したい。
気がかりなのは、土俵際で揃った両足を突っ張らせながら仰け反る、非常に怖い踏ん張り方をすること。腰などを悪くしなければ良いのだが…




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