大翔鵬清洋 出身:モンゴル 生年:平成6年 所属:追手風 身長:182センチ 体重:147キロ

<取り口>
右四つで左上手を引けば強さを発揮しますが、 顎を上げ、右かち上げ気味、左を引っ張りこむようにしながら立つので、上手は手が届いても深く、引きつけて寄り詰めるというよりは振り回すための上手という印象。結果、どうしても相撲が大きくなってしまうのが良きにつけ悪きにつけ・・・というところです。
幕下以下の小さい相手にはそれでも通用するというか、右をぐいと返して相手の上手を許さず、胸を合わせて寄りや豪快な投げと魅力たっぷりの力強さを放つのですが、これから十両やその上を目指すにおいては、自身も関取の中に混じれば必ずしも大きい方ではないことを自覚しなければ、いずれ重い怪我を招きかねない。
理想を言えば、立合いでしっかり顎をつけ、脇も締めて左前廻し狙いで鋭く踏み込み・・・という王道的な右四つの型を目指してもらいたいですが、高校相撲を経験して相撲歴も長く、なかなかこれまで染み付いた取り方を変えることは難しい。その点をいかに克服し、せめて簡単に大きい相手と胸を合わせてしまわないような相撲に修正していけるか。いっそう立合いで相手を弾いていく力を強めることはもちろん、少なくとも抱え込むばかりの左からおっつけが出るようになってくるようでないと、前途有望との声もなかなか上げづらいというのが現状です。

その点、去る秋場所、勝てば新十両という一番で相四つの実力者大道に型の差を見せつけられ、完敗を喫したのは今後に向けて、必要な遠回りであったはず。
アレコレ課題を書きましたが、活発な部屋の稽古環境にも恵まれ、初の5枚目以内で勝ち越したのは立派ですし、今年春場所では鳴り物入りでデビューした御嶽海を相手に、同部屋の(学生時代に御嶽海との対戦を経験している)安彦から情報を入れ、即実行。根が右四つである相手の右を引っ張り込んで動きを止め、肩透かしに下して角界初黒星を見舞ったり、秋場所でも巨漢髙立を右かち上げで起こしてからのタイミング良い叩き込みであっさりと沈めるなど特有なる相撲勘の良さも備えていますから、もう少し時間をかけ、課題を消化しながらじっくりと育っていけば、やや変則的ながらもなかなかに味のある存在として、幕内上位を沸かせる日が来るやもしれません。
新年早々を関取として迎えられるかどうかについてはなんともいえませんが、来年中には十両入りを決め、同年代の力士たちと競い合う溌剌とした姿を観たいものだなと期待しています。