土俵一路

本場所中の更新に加え、場所と場所の間は花形力士の取り口分析、幕下以下有望力士の特集などを書いています。 「本場所中も本場所後も楽しめる」をコンセプトとして、マイペースかつストイックに我が道を往き続けます。                他サイト等への転載はご遠慮下さい。

Category: 大相撲・検証

その年に誕生した新十両力士が、初場所時点でどれくらいの番付に在位していたのか。今年のデータを加えた三訂版です。




※左から順に昇進場所・力士名・初場所時番付

平成29年
春 朝乃山     西7
夏 貴源治     西4
名 翔猿      東10
秋 矢後      初土俵前(夏場所15枚目格付出)
秋 大成道     西11
九 隆の勝     東15
初 水戸龍     初土俵前(春場所15枚目格付出)
初 天空海     西8


平成30年
春 貴公俊     東7
春 炎鵬      東6
夏 白鷹山     西8
夏 若隆景     東17
名 千代の海    東10
名 美ノ海     東11
九 極芯道     西17
九 友風      東31


平成31(令和元)年
春 若元春     西3
春 霧馬山     西1
夏 彩       西6
名 竜虎      西1
名 一山本     西19
名 木崎海     西20
名 琴ノ若     東14
秋 朝玉勢     東19
秋 魁勝      東7
九 琴勝峰     西48
九 豊昇龍     西21


令和2年
春 翠富士     東2
秋 王輝      東3
秋 錦富士     西58
初 王鵬      東5
初 東白龍     西13


令和3年
春 貴健斗     西1
春 武将山     東2
名 荒篤山     東3
秋 北青鵬     西15
秋 朝志雄     東8
九 朝乃若     東7
九 平戸海     東19
初 紫雷      西26
初 北の若     東11
初 琴裕将     西34


令和4年
春 熱海富士    西1
春 島津海     西2
夏 栃丸      西4
名 欧勝馬     西12
名 千代栄     西13
名 豪ノ山     東35
秋 金峰山     西59
秋 栃武蔵     西9
九 狼雅      東7
九 對馬洋     東11
初 湘南乃海    西17

令和5年
春 玉正鳳     東1
春 落合      15付出 ※現・伯桜鵬
夏 藤青雲     西5
夏 時疾風     西6
名 獅司      東20
名 輝鵬      東7
名 勇磨      西12
秋 髙橋      西54
秋 朝紅龍     西1
秋 大の里     初土俵前(夏場所10枚目格付出)
秋 天照鵬     西13
九 日翔志     東18
初 尊富士     二11
初 欧勝海     西45


計67人


1~5枚目(上位5枚目)  16人
6~15枚目(上位)    27人
10枚目格付出        1人
15枚目格付出        3人
16~25枚目(上位近辺) 10人
26~40枚目(中位)    4人
41~60枚目(下位)    5人
三段目以下          1人


67人中、初場所時15枚目以内が43人(15枚目格付出の4人を加えるなら47人)ということで、やはりこの番付から出ると考えるのが常道。
ただ、令和5年は7人が16枚目以下からの昇進、集計期間内では初めて序二段から一気に駆け上がった力士が出るなど、新鋭の目覚ましい台頭が目立つ1年となった。

26枚目以下の10人を見ていくと、怪我で番付を落としていたにすぎない上位経験者の(紫雷)・錦富士欧勝海が含まれており、注目するのであれば、彼らとよく似た境遇の実力者か。
令和4年新十両の金峰山についても、前年九州三段目付出という変則的なデビュー時期が影響したものであり、年内の新十両昇進を予想する声は少なくなかった。
同年新十両の豪ノ山に関しては、3年春の三段目付出デビュー以降負け越しなしで出世するも、九州場所途中休場&初の負け越し、まして首を痛めたという情報が入っていたので、予想という意味では一番難しいタイミングだったと言える。大事に至らず、そこから半年のスピードで昇進を決めたのは見事だった。
30年の友風、5年の髙橋尊富士含め、学生出身力士がやはり狙い所。そこに所属部屋の勢いも加味すれば、正解に近いものが見えてくるかもしれない。

三段目以下からの昇進は、三段目最下位格付出から所要4場所で昇進(春初土俵&九州昇進)した平成28年の豊山が最後となっていたが、上述の通り、尊富士が序二段からの大ジャンプアップ。
付出以外では24年初場所昇進の阿夢露以来、この時も年初は三段目だったので、序二段からというのはいつ以来になるのやら。

ちなみに、前年の熱海富士や今年の髙橋も同じ初土俵から8場所での昇進ながら、集計期間の関係上対象外となっていた。3年9月の北青鵬を含め、平成以降5位のスピード記録が短いスパンで続いている。
最近発表された新付出規定により、新年以降は幕下および三段目付出デビューの力士が増えるため、前相撲からの快記録もそうそう見られなくなるだろう。ただ、尊富士や熱海富士は、調べた限りでは現行規定でも前相撲スタートのはずで・・・
そう思うと、改めて伊勢ヶ濱部屋の育成力って物凄いなと感嘆せずにはいられなくなりますね。。

せっかくの生観戦日だったので、2日目からもう少し。物言いのつく微妙な一番となった明生×琴勝峰の勝負判定について書いてみようと思います。相撲内容自体には殆ど言及しない点をご了承下さい。



さて、争点となったのは明生の右足が出たタイミングで琴勝峰の体が生きているのか死んでいるのか。
まず、解説の九重さんが指摘した「琴勝峰の右小手投げが有効かどうか」という議論ですが、これは無理(無効)でしょう。効いているとするには、左足が右足を追い越すようにして正面側へ回っていき、琴勝峰の体が明生の上になければいけないところ、このケースでは明生に左を突きつけられて回り込めず、(左足の)つま先が上がっています。たまたまその左足が明生の左脛あたりを跳ね上げるようになってはいますが、これも技をかけているという状態ではありません。

続いては明生の右足と琴勝峰の右足の比較。琴勝峰の踵は残っているので、次に明生の足が出た時点での琴勝峰のつま先を見ると、これは僅かに上がっているという程度で微妙なところ。ただ、同じ時点の膝を見ると完全に折れ曲がっていて所謂「尻が落ちた」形になっており、上記した左足の状態も含めて考えれば、ここから復元することは不可能と言わざるをえないでしょう。つまり、この段階で少なくとも「琴勝峰の勝ち」だけはなくなることになります。

最後に琴勝峰の膝の曲がり・尻の落ちと明生の右足が出た先後の比較に移ります。これはコマ送りにすれば楽に前者が早いと判定できるくらいの時間差、ゆえに、実際の判定通り「明生の右足が出る前に琴勝峰の体がなくなっていた」として差し支えないと思いますが、取り直しにするのがおかしいとはいえない程度の際どさが認められることも指摘しておきたい。


・・・というわけで、筆者は審判部の判定を支持するという結論に落ち着いたわけですが、問題なのは、この「尻が落ちる」とか「両足のつま先が上がる」とかいう死に体の判定がなかなか一定せず、今回以上に明らかな事例でも勇み足の成立を認めてしまうケースが散見されること(令和3年初場所11日目・正代×隠岐の海における隠岐の海など)。

勝負判定の話題になると毎回同じような結びになるので短くやりますが、せっかく立派なYouTubeチャンネルを持っているのだから、場所後にでもJリーグにおける「ジャッジリプレイ」のようなレビューの機会を担保し、良かった部分も直すべき部分も平等に取り上げて先々に繋がるものを作り上げてほしいものですし、公式が無理ならabemaさんあたりでやれないものか・・・
そんなことをいつも考えてしまいます。


その年に誕生した新十両力士が、初場所時点でどれくらいの番付に在位していたのか。
昨年分の記事に今年のデータを加えた改訂版です。

→データに誤りがあったので一部訂正しています。


※左から順に昇進場所・力士名・初場所時番付

平成29年
春 朝乃山     西7
夏 貴源治     西4
名 翔猿      東10
秋 矢後      初土俵前(夏場所15枚目格付出)
秋 大成道     西11
九 隆の勝     東15
初 水戸龍     初土俵前(春場所15枚目格付出)
初 天空海     西8


平成30年
春 貴公俊     東7
春 炎鵬      東6
夏 白鷹山     西8
夏 若隆景     東17
名 千代の海    東10
名 美ノ海     東11
九 極芯道     西17
九 友風      東31


平成31(令和元)年
春 若元春     西3
春 霧馬山     西1
夏 彩       西6
名 竜虎      西1
名 一山本     西19
名 木崎海     西20
名 琴ノ若     東14
秋 朝玉勢     東19
秋 魁勝      東7
九 琴勝峰     西48
九 豊昇龍     西21


令和2年
春 翠富士     東2
秋 王輝      東3
秋 錦富士     西58
初 王鵬      東5
初 東白龍     西13


令和3年
春 貴健斗     西1
春 武将山     東2
名 荒篤山     東3
秋 北青鵬     西15
秋 朝志雄     東8
九 朝乃若     東7
九 平戸海     東19
初 紫雷      西26
初 北の若     東11
初 琴裕将     西34

令和4年
春 熱海富士    西1
春 島津海     西2
夏 栃丸      西4
名 欧勝馬     西12
名 千代栄     西13
名 豪ノ山     東35
秋 金峰山     西59
秋 栃武蔵     西9
九 狼雅      東7
九 對馬洋     東11
初 湘南乃海    西17


計53人


1~5枚目(上位5枚目)  13人
6~15枚目(上位)    23人
15枚目格付出        2人
16~25枚目(上位近辺)  8人
26~40枚目(中位)    4人
41~60枚目(下位)    3人



53人中、初場所時15枚目以内が36人(15枚目格付出の2人を加えるなら38人)ということで、やはりこの番付から出ると考えるのが常道。令和4年も11人中9人がこの番付からの昇進であった。

数少ない26枚目以下の7人を見ていくと、怪我で番付を落としていたにすぎない上位経験者の芝・錦富士が含まれており、注目するのであれば、彼らとよく似た境遇の実力者か。
令和4年新十両の金峰山についても、前年九州三段目付出という変則的なデビュー時期が影響したものであり、年内の新十両昇進を予想する声は少なくなかった。
同年新十両の豪ノ山に関しては、3年春の三段目付出デビュー以降負け越しなしで出世するも、九州場所途中休場&初の負け越し、まして首を痛めたという情報が入っていたので、予想という意味では一番難しいタイミングだったと言える。大事に至らず、そこから半年のスピードで昇進を決めたのは見事だった。

部屋別では、経歴こそ全然違うものの、琴勝峰・琴裕将と佐渡ヶ嶽勢が2人入っているのも興味深く、この部屋伝統とも言える、急激な地力・番付の伸びにも期待を寄せてみたい。

ちなみに三段目からの上昇となると、直近の例は平成28年の豊山が最下位格付出から所要4場所で昇進(春初土俵&九州昇進)したのが最後。付出以外では24年初場所昇進の阿夢露以来じゃないかと思うので(間違っていたら指摘して下さい)、なかなか簡単な記録ではなさそうですね。





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