土俵一路

本場所中の更新に加え、場所と場所の間は花形力士の取り口分析、幕下以下有望力士の特集などを書いています。 「本場所中も本場所後も楽しめる」をコンセプトとして、マイペースかつストイックに我が道を往き続けます。                他サイト等への転載はご遠慮下さい。

Category:2014年 > 名古屋場所前

新ブログ移行後も性懲りなく続けます。ただ、形式を以前からずっと検討していた、複数選択可能なタイプに変更いたします。これで当たらないと、余計恥ずかしいことになるので、気を引き締めて行かないと・・・


幕内 本命:日馬富士 対抗:白鵬、稀勢の里

3力士とも先場所よりは場所前の調整、順調そうですし、高いレベルでの競り合いになれば。ここに、鶴竜や両関脇、遠藤らが絡んで壮絶なサバイバルを・・・というのが言うまでもなく最大に盛り上がる展開でしょう。

本命に挙げた日馬富士は初日の碧山、序盤の内にやるであろう嘉風との対戦が怖いだけに、例のごとく取りこぼし癖が発動しないとも言えないですが、体は動く季節。優勝を2度経験している名古屋で久々の賜杯奪還を果たすと読んだ。
白鵬は、まあ通常通り、全勝or1敗で終盤に突入するでしょうけど、「暑さが1番の敵」という本人談もあながち冗談ではなく、終盤のばて方も年ごとに大きくなってきています。逆算しながらの15日間で、どこかに隙の生まれる日が出てくることは否めず、今週ずっと書いてきた挑戦する側の力士としては、そういうところをいかに逃さず突いていけるのか。具体的な取り口については繰り返しませんが、安美錦、碧山、勢あたりにはかなり期待しています。

稀勢の里は、優勝できれば一番いいですが、そうでなくとも13勝レベルを続けることがノルマとなる場所。対上位戦前にも碧山、嘉風、栃煌山ら嫌な相手はいくらでもいますから、綱取りという面においても、まずは彼らを相手にしての内容・結果を精査したいところ。



三賞
殊勲 本命:碧山 対抗:豪栄道、安美錦
敢闘 本命:千代鳳 対抗:碧山、遠藤、隠岐の海
技能 本命:栃煌山 対抗:妙義龍、佐田の海

軸は破壊力抜群の突き押しで成長著しく、今場所返り三役の碧山。膝の状態が悪くないことが前提ですが、誰かしら横綱を倒した上で二桁勝っての殊勲or敢闘と予想しています。

敢闘賞、本音では「下位に落ちて2場所目が買い」のデータ通り隠岐の海がまた11-2くらいの成績で優勝争いに絡むと言いたいところなのですが、ここ2場所の内容や体のしぼみ方を見るにポジティブにはなりづらいんだよなあ。 

技能候補で期待したいのは佐田の海。番付を中位近辺まで上げても十分にやれる実力はありますから、再度旋風を起こす活躍で、一気に上位まで駆け上がってもらいたいもの。日馬富士あたりが嫌がりそうなタイプだよなあ・・・と思います。

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いよいよ初日を2日後に控える本日は、その他今場所実現しそうな注目の取組を幾つかピックアップします。


稀勢の里×碧山
御存知の通り、ここ2場所は碧山が電車道で大関を下しています。内容もそうですが、土俵周りの仕草もすべて含め、碧山が悠々と取っていたのが先場所。
一方の稀勢の里は右足親指のふんばりが効かない状態で必然のように敗れた初場所を経て、悪い意味で意識しまくっていましたから、観た人は分かると思いますが、これは今後も容易に苦手意識が取れそうにはないな・・・と感じました。

で、先場所分の観戦記(前のブログに書いています)で、「そうならないため」の方策として、実現する可能性は低いという付記を添えつつ「場所前に出稽古で捕まえに行くくらいのことはしないと・・・」なんてことを書きました。
そして・・・場所前、稀勢の里は行ったんですよね。詳しくは時事通信さんの記事を参照して欲しいですが、碧山と三番稽古をやりました(書かれてないけど、その後には胸を出しつつ、いくらか引っ張り回すようなこともしたはず)。内容的にも、やはり稽古場の土俵に上がれば稀勢の里のほうが強く、これで碧山は稀勢の里という力士に少なからず怖さを抱いたはず。むしろ大きいのはそっちだったりしますよね。

具体的な取り口の面で言えば、とにかく立合いというわけですが、相撲になっていないここ2場所は別としても、その前数度の対戦も、先ずは碧山がしっかり踏み込んで、後退した稀勢の里がその出足を左のおっつけ、右からの突き放しなどを交え、凌いでからの展開が多くなっていますから、立合いがある程度しっくり行ったとして、進化している碧山の低く重たい出足をまともに受けず、うまく散らせながら取っていく必要はありますね(去年九州の内容でもそのままなら、かなりヤバイ)。もっとも、そのあたりは直接肌を合わせた件の三番稽古で研究も進んだはず。あとは実際の相撲を観てのお楽しみですね。

両者の取組、2日目に組まれたようで、碧山としても膝の負担がまだまだ少ない段階、思い切って相撲が取れる相手でしょうし、両者がしっかりと力を出し合う格好ができれば、現状の角界において屈指の迫力ある力相撲が観られるはずです。


日馬富士×嘉風
横綱として2場所続けて同じ相手に負けられない日馬富士ですが、それにつけても嘉風という相手はこの横綱にとって、やり辛いことこの上ない存在でしょう。
突き起こしていくにしても的が小さく、上下の動きもいやらしい。先場所のように左からハズに当てられると引いてしまうし、上滑りすると中に飛び込まれ、上体だけが突っ込みすぎると手を払われてはたき落とされる負け方も大関時代にはありました。他の相手なら速さでどうにかしてしまうのも、この力士の場合はサッと体を寄せてきますし、いざきっちり押し上げる形を作られてしまうと重さがないだけに、先場所のようなことも起こってしまいます。
横綱側の作戦として、嘉風が本来の意図に反し、得意の左を差し込んでしまう癖があることを活かし、その形に引っ張りこんだ上で胸を合わせてしまうというのは1つの狙いとなるでしょう。ただ、これにしても、嘉風は左四つ右おっつけで前に出る力もありますから、安易に呼びこむような動作が入ると、そのまま・・・という可能性も。

正直、両者の対戦で日馬富士が完璧に勝ったという相撲をあまり観た覚えがないだけに、横綱視点だと碌なイメージが浮かばないのですが、ただ、稀勢の里にとっての碧山同様、優勝を狙うにおいては決して負けることの出来ない相手。どういう形であれ、自らの手に勝利の二文字をたぐり寄せる結果だけが必要であり、そのためにいかなる執念を披露してくれるだろう。嘉風も「今度は金星を!」と野心バリバリに向かってくるはずで、そんな両者の対戦から目が離せそうもありません。



番外編 十両
里山×旭大星
新旧業師対決。重心低く頭四つで揉み合う展開が予想されますが、この体勢なら里山に一日の長がある。旭大星はまず突き押しで里山の上体を起こしてから、先に上手を引いての速い攻めを心がけたい所。技ではなく力で勝負を。

今日は力だけならすでに大関級の2大関。とりわけ栃煌山は序盤のモタツキ癖さえなければ、豪栄道以上に芽はありそうなんだけどな・・・
その点、対戦相手との相性もあると思うので、今場所なんかは割と連勝スタートで入って行きやすいのかなとは期待していますが。。


・豪栄道
昨年秋場所に続き、殊勲を挙げた先場所の白鵬戦。内容的には白鵬の大失敗であるとしても、それに対して打つ手を誤らず、冷静に反応していける心身両面での対応力を持つ力士は現状の関脇以下で豪栄道だけですし、秋以降の対戦を観る限り、現実的な実力差の接近を確実に内容面にも反映させられるようになっています。
先場所の場合、白鵬が明らかに本調子でなく、立合いの踏み込み・角度とも悪く、右を差しても棒差しになるようなケースが多かったので、豪栄道もそれを見ての11日目ですか、その「儘ならぬ白鵬」だけを視野に入れた怖がりすぎない現実的な対応ぶりでした。案の定鈍い右の差し手を左で十分におっつけて殺し、嫌がって引く(この動きもパターン化していますから、豪栄道は想定済)動きへ誘い、白鵬が崩しきったと信じて迂闊に上体だけで前へ出てきたところを、18番の両手で払う動作で大きく泳がせて仕留めてみせた。

今場所も対戦はおそらく同じ終盤戦ですから、豪栄道は「今場所それまでの白鵬」のみを注視し、自分の相撲の中に嵌めこんでいけばいい。1年の間に2度の勝利を収めたことで、そういった相手を必要以上に大きく見過ぎない余裕や自信が確実に具わり始めていると思います。

逆に白鵬としては、続けて負けるわけにはいかないと躍起になって勝ちに行く一番。いかにうるさい相手を捕まえて万全の形を作るのか、興味は尽きません。

・・というわけで、このカードに関しては、直前にならなければ分からないことが多いゆえ、また10日目になるのかな?前日記事でがっつり展望できればなと。



・栃煌山
一方、未だ白鵬に対する大きな壁を超えきれないのでいるのがこの人。特に13年の対戦以降は横綱が立合いややずれ気味に右で当たりながら、左で腕を取ってのとったりを毎場所のように繰り出し、対応しきれない栃煌山が翻弄されるまま。ここまで続けば、よく「とったり」という技に用いられる「奇襲」との表現ももはや不適当なものになったと言わざるをえないでしょう。
この点、横綱の立場にありながら毎場所毎場所立合いで動くような技を重ねるのはどうなのかという批判は確かにあり、また同じことを続けられて毎回対応できない方が悪いとの評価も成立する。

しかし、要はそれだけ横綱が栃煌山の当たり、出足を警戒している所以の結果で、また、その相手にもっとも勝てる可能性が高い作戦であるからこそ徹底して使うということ。仮に最初のとったりを外されたとしても、栃煌山の左膝が悪く、左へ動く白鵬に対し、スンナリ左足を送れないため怖さがないし、体が離れたところで切り替え早く一発張るなりして上体を起こしてしまえば、後はそのまま突っ張っていくにせよ、差して出るにせよ優位は揺るがない。
もっとも、ここ数回は栃煌山が流石にとったりへの対応度を増してきたのも確かなだけに、 その形にさえ行けず、まともに押し込まれた先場所の内容を経て、横綱が久々に取り口を再構築してくる可能性も。従前の張り差しやかち上げで出足を止める流れへの回帰なのか、まともに踏み込んでいくか、それ以外の何かなのか、まあまあ、そこは豪栄道戦同様対戦が遅いので、実際に対戦するときにどれだけ余裕が残っているかどうかにもよるでしょうね。
これまでは意外に序盤~中盤での対戦が多かったイメージでしたから、今後栃煌山が関脇(以上)に定着して、場所終盤での対戦がパターン化するのなら、それも勝敗を左右する微妙なアヤにはなりうるのかなという気はしています。

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